愛されるということ。~その2~愛するだけではダメだということ。

TL漫画から愛を学ぶ!?

こんにちは。スターシード図書館の館長、星子(ほしこ)です。

「愛」についてというよりは、「愛される」という、より身近な現象について考察する2回目です。

TLという漫画のジャンルをご存じでしょうか?これは「ティーンズ・ラブ」という女性向け漫画の一ジャンルです。絵は、普通の少女漫画のようですが、中身はかなりHな描写が多いです。

レディース・コミックスとの違いは、レディース・コミックスの方が劇画調であったり、内容がリアルで不倫なども含んだ、ドロドロした大人の恋愛模様も扱うのに対し、TLの方は登場人物たちの年齢がだいたい20代で、描かれるのはヒロインとヒーローが結ばれるまでの恋模様、ストーリーもスーパー・イケメンでお金持ちの王子様タイプの男性が登場したりと、非現実的なのです。
こうしたジャンルの漫画の中で、先日、星子は、すみ著『黒弁護士の痴情~世界でいちばん重い純愛~』という漫画を読んでみました。これは、電子書籍漫画のサイトなどでも評価が高く、電子コミック大賞(2022)などにも選ばれてたりしている作品でした。

女性が大好きな「溺愛」ものだが…?

ストーリーを少し解説すると、ヒロインは幼馴染で初恋の男性が弁護士をしている事務所に転職し、彼の秘書となります。
互いに両想いであることがわかった二人は恋人同士となり、結ばれますが、ヒロインを想う男性側の恋愛感情が、とてつもなく重い……。(それゆえ、「世界でいちばん重い純愛」というサブタイトルがついているのですね。)

まさに、日本の女性の大好物「溺愛」状態そのもの――。

(注:ここから先は作品のネタバレを含みます)

しかし、タイトルに「痴情」と意味深についていることからもわかるように、ヒーローの弁護士男性の行動が結構常軌を逸していて、ヒロインに少しでも危害が加わりそうな状況になると、人殺しでもしそうな状態になるのです。更には、ヒロインが他の男性と少しでも絡みそうになると、いくらヒロインとSEXをしても、焦った気持ちが治まらないのです!
そうしたわけで、ヒロインも、だんだん、彼のことが怖くなり、さらに事件も起こって二人の関係に暗雲が垂れ込めます。

愛されることに不慣れなヒーロー

この漫画の3巻目になると、ヒロインに自分の行動を怖がられ、落ち込むヒーローの男性は仕事も手がつかなくなってしまい、とうとう弁護士事務所の所長である自分の父親に呼び出されます。

実は、ヒーローの男性は幼い頃に母親が自分を置いて出て行ってしまったことで心に傷を負っていたのです。父親はそのことで苦労をさせたことを息子に詫び、息子が恋人とうまくいっていないのは、

「愛されることに慣れていないからだ」

と指摘します。そして、

「時間がかかってもいい。愛されることを(恋人のヒロインに)しっかり教えてもらいなさい」

と――。

そうやって愛されることを学び、相手を信じる必要があるのです。

このヒーローの男性は、幼い頃の両親の離婚などから、愛着障害があるようであり、もう二度と最愛の存在が自分から離れていかないようにと必死になっていたのです。
一方、主人公の女性は、まともな家庭に育ち、両親からの愛を注がれて育ったため、「愛される」とはどういうことかわかっていたのです。

ところで、この男性の父親のセリフで、星子が度肝を抜かれたのが、これです。

「人間は弱いからね。愛すだけでも愛されるだけでもいけない。両方そろって初めて、他人を思いやれる、余裕を持てるものだ」

(すみ『黒弁護士の痴情~世界でいちばん重い純愛~』3巻)

無条件の愛を注ぐだけは間違い

上のセリフを読んだ時、正直、鳥肌が立ちました!
これまで星子が呼んできたスピリチュアル系の本や、キリストの愛などについての本では読んだことがなく、目から鱗が落ちたのです。

この漫画の心に傷を負ったヒーローの男性は、ヒロインを「愛する(溺愛する)ということ」はできたのですが、ヒロインから「愛されるということ」には慣れておらず、それ故に、余裕が全くなかったのであり、ヒロインからは警戒され、二人の関係が、ギクシャクしておかしくなっていたのです。

これからわかるのは、愛するだけではダメだということです!

よく、スピリチュアルなどでは、「無条件に人を愛しなさい」、「愛されることばかり求めないで、愛しなさい」などと言われますが、これでは片手落ちだったのです。

この話はさらに、その3へ続きます。