ジェームズ・ギリランド著『究極の魂の旅~スピリットへの目醒め~』ブック・レビュー(2)

覚醒後のジェームズさん

スターシード図書館の館長の星子(ほしこ)です。
1に続き、ジェームズ・ギリランド著『究極の魂の旅』の第2回目の記事となります。

本の中盤は、臨死体験の後、ジェームズさんがスピリチュアルな道を本格的に歩み始め、さらに魂の道を進む中で出会う、様々な困難について、書かれていて、まだ本格的なETとのコンタクト体験の話にはなりません。

さて、25歳のサーフィン中の事故で、光のトンネルの中、大いなる源(ソース)との邂逅を果たし、神の本質をみんなに教えるために、光のトンネルから生還したジェームズさんは、不動産業を辞め、ヨガや瞑想、ワークショップ、セラピーなどの教室に通い始めます。

女性たちとのエピソード

イメージや願いによる現実化の教えも試してみるのですが、それで不動産は売れたけれども、恋愛はうまくいきません。そもそもジェームズさんは、光のトンネルから地球での生活に戻った後、すっかり世の中への考え方や捉え方が変わってしまい、当時付き合っていたガールフレンドとも別れてしまいます。この当時付き合っていた彼女と言うのが、バンドマンの男性とジェームズさんを天秤にかけるような女性でした。

ところで、『究極の魂の旅』を読んでいて、いつになったら、ジェームズさんに「運命的な出会い」が訪れて、「魂の伴侶ともいうべき女性と愛に満ちた生活を送る」と言う状況が出てくるのだろう?と待っていたのですが、読み進めても、一向にそんな気配がないのです……。これまで、星子が読んだ本、引き寄せの法則や願望実現の本では、たいてい、著者は、法則を使い始めてから、運命の相手へと導かれ、相手と幸せになるというエピソードが出てきました。
引き寄せを扱った恋愛本などでは、必ず、著者がつらい恋愛から、スピリチュアルな力でもって、理想的な相手をゲットしています。そして、こう続けるのです――あなたもできるよ、私みたいにね、と。

魂の暗夜

ジェームズさん自身、グルやマスターなどと崇拝の対象になることをきっぱりと断る人なので、あくまで自身の非常に人間臭い(3次元的な)エピソードも編集なしで載せている――つまりは、赤裸々に書いています。ということもあるのですが、なぜ、こうもジェームズさんが付き合う女性がみんな、ジェームズさんを苦しめるような女(ひと)なのか?それは、もう、次から次へとなのです。
ジェームズさんぐらい色々修行して前世のことも理解している人は、これらのつらい出会い・別れが魂が歩むプロセスと理解しているわけですが、普通の人だったら、理解できず、下手したら、アル中毒や薬物中毒になどになって潰れてしまうレベル。まさに「魂の暗夜」。

ジェームスさんとある女性との間には娘が生まれるのですが、その母親となった女性とは別れることになり、しかもその女性に裁判でインチキな証拠をでっちあげられ、財産を要求され、金銭的にかなり厳しい状況へ、追い込まれるのです。しかし、インチキな証拠なのに国側は、その女性の方の味方をするという、なんとも理不尽なことに!

さらに、金銭のことで言えば、ジェームズさんは、商売の才能があったので、スピリチュアルな生活を始めても、家族の経営する店で働いたり、しかも、その店の売り上げを伸ばしたりして、儲けさせます。しかし、経営仲間の裏切りにあったりして、財産や仕事を失ったり、リトリートセンターの設立もうまくいかなくなったりします。まさに、一難去ってまた一難状態。しかも、体調を崩し、自由に動けない状態になったりもします。

星子の引き寄せの法則への疑い…

ジェームズさんの赤裸々な告白による、厳しいエピソードの数々を見ていて、星子は、思いました、「引き寄せの法則って、嘘なんじゃないか?」と。星子レベルの人間なら、わかる。しかし、ジェームズさんは、毎日瞑想もして人びとに神様や愛などについて、伝えていて、マスターたちと交流したりもし、森の精霊たちのために、木を植えたりもし、魂の道を歩んでいる自覚もあり、なにより、スピリチュアルでよく言われる周波数が高い。もう、これは、引き寄せの法則とか、願望実現の本で言ったら、とっくに、理想の伴侶と出会い、悠々自適な生活を送れていていいレベルです。

ところが、そうならないのです。これはいったい、どうしたことか?ジェームズさんも、周囲から、「これは(ジェームズさんの)カルマだ」と言われたり、「君がどこかで作りだしたことなのだ――これは君が彼らにしたことであり、今それが自分に返ってきているのだ」(p68)と言われたりします。
しかし、ジェームズさんはこれらの言葉を、的外れだと感じます。

さらに、困難が続いていたある日、自分はそんなに、(過去世も含めて)悪い人間なのかと疑問を持ち、答えを求めます。すると、ジェームズさんの肩に、普段はとても警戒心が強くて人間にはなじまない小鳥「キビタイシメ」が、ちょこんと乗ります。ジェームズさんは、この鳥がこんな風に肩に乗ってくれるのであれば、自分はそんな悪い人間ではないはずだ、と思います。この時ちょうど、ジェームズさんが家の修理をしてあげていた家主が出てきて、ジェームズさんの肩に小鳥が止まっている様子を写真におさめました。しかも、この出来事が偶然ではなく、その後も何度も起こったそうです。
個人的に星子は、この小鳥のエピソードが、かなり好きです。偉大なる誰それの声が聞こえたというのではなく、小鳥がちょん、と肩にとまったことに、導きを感じるジェームズさんの繊細な感性。そりゃ、そんな悪い人間であるはずはないでしょう。

人間関係について

ジェームズさんは、人間関係について、とても重要なことを書いてくれています。「あなたに対して、誰かが力を持っているとしたら、その唯一の理由は、あなたが彼らに何かを求めているからだ」(p184、p204)これは深い教えだなと思います。
この本にはこうした素晴らしい言葉が散りばめられているのですが、それらが、ババジだったり、ラムサだったり、高次の存在とのやり取りだったり、超3次元的な理不尽な出来事の合い間に書かれています。ここが、ちまたにあふれる、スピリチュアル本とは、全く違うところです。

この本を読んでなにか、高次のマスターからのメッセージを得て、理想の相手を引き寄せたり、直ちに健康を快復させたり、収入が増えたり、つまり、3次元的生活を豊かにする方法が見つかるわけではないし、何らかのスピリチュアル能力が直ちに目醒めることを保証するものでもないし、陰謀論的世界を垣間見させてくれる(少しはありますが)というものでもありません。ましてや、偉大なるティーチャーの教えが延々と書かれている本でもないのです。なので、そういうことを期待してこの本を読むと、「なーんだ、つまらない」というふうになってしまうかもしれません。
でも、人によっては、大変、ためになる本であることは請け合いです。ジェームズさんは、小さい頃からUFOを見たり、臨死体験をして、「普通の人」よりは目醒めている人かもしれません。でも、それ以外においては、お金や健康、恋愛にもがき苦しみながら、誠実に魂の道を歩み続ける人の姿がこの本にはあります。世の中のスピリチュアル本の多くが、どうやったら、成功できるかのHOW TO(ハウ・トゥー)本と癒しと言う名の眠りの本であふれかえっている今、(特に日本のスピリチュアル業界は特殊)このような正直な魂の旅の記録は、とても貴重なものです。

ここには、とてもナチュラルな覚醒とオーガニックなアセンションがあると思います。そんなジェームズ・ギリランドさんの言葉に触れたい方には、この本をお薦めします。加えて、星子のように、引き寄せの法則やあまたの願望実現の本、自分が全てを創っている系(自分=神)本などで、願いが叶わなかった人、叶ったものもあるが、どうしても叶えたい願いだけは、どうしても叶わなかった人が、この本を読んだら、もしかすると、叶わなくてよかった!と思うかもしれません。
それらの本で説かれていることや、そのような本で解決できてしまった人は、それを人に教えるティーチャーになったりします。しかし、そういうひとは、そこで止まります。何が?――魂の成長がです。それでよい、今世ではそれが運命なのだということもあるかもしれません。でも、これまでのスピリチュアルでは何かが違うなという違和感を感じている人にとっては、ある意味、このジェームズさんの体験談は、とても、ささるものと、なるでしょう。

レビューまだ続きます。